戦争の爪痕が色濃く残る1947年、詩誌「荒地」創刊のために北沢太郎(豊川悦司)、三田村貴一(松重豊)、有川信夫(田口トモロヲ)ら戦後日本の現代詩運動の中心となる詩人たちが集まった。それから28年後の1975年、53歳の北沢は新聞社の校閲部に勤務しながらもほそぼそと詩作を続けている。妻の治子(富田靖子)、娘の優有子(川島海荷)、息子の尚に囲まれた彼は、平凡な幸せを慈しむ毎日。だが、その北沢の人生に大きな転機が訪れる。親友である三田村の妻・明子(鈴木京香)と頻繁に接触を持つようになり、恋に落ちるのだ。北沢は仕事を捨て、家族を残し、同じく家を出た明子と暮らしていく中で、これまでにないほどの情熱と「言葉」を取り戻す。それぞれが「荒地」の人生を歩んでゆく。